斎田 英次

第11回 カッセルエコ住宅から感じたこと


「エコ」について総論賛成、各論無視ということは往々にして起こりやすいことですが、カッセルのエコハウス団地を見ると、多くの人が取り入れるためには促進役の役割が大きいことが良く分かります。ドイツの場合は地方行政だったりNPOだったりする場合が多いですね。

そしてその指針や考え方は常に方向修正される。多分困難にもぶちあたったでしょうし、一般にあまりにも受け入れられないという意味で方向転換を余儀なくされたこともあったと聞いています。

それでも、20年も前に建てられたこの団地は時を経て味わい深い街並みになり、緑と家が自然に溶け込み、豊かな住まいの空間をつくっているなあと感じました。

ドイツは市民社会が成熟しているとよく聞きますが、まずやってみて、間違っていたらどこが問題かを考え、それに気づく。そして方向修正して又進む。そんな気風がベースにあるようです。

また、考えさせられたことは、「公と私」のこと。次の世代に良いものを残そうとか、害を残さないといった「公」の考え方が「私」の財産である家についてかなり踏み込んで関わっていることです。

日本人の場合、「家は個人のものだから何をしようが勝手である」と言われればそれまでなのですが、その結果、街並みはいったいどこの国だか分からないようなことになるし、魅力をなくしてしまっているように感じます。

私の家の近くもまさにそう、ピンク、ブルー、イエロー、お隣が青なら私はピンク、みたいな変な競争意識が働いてるんでしょうか??
色に加えて、家のスタイルもヨーロピアン、和風、アメリカン・・・・
なんだか分からなくなってきましたのでこの辺で。

ある程度公の権限を強くしても、美しい町並みはできるし、楽しい暮らしはできると思いますが皆さんはいかがでしょうか。
この点はドイツを参考にするべきだなと思いました。間違っていたら方向修正したらよいのですから。まずトライしてみる。

私は学生のころサッカーをやっていて、日本に近代サッカーを伝えた一人と言われるドイツ人指導者「D・クラマ−氏」に師事していた監督のもとでプレーしていたのですが、私達プレーヤーの合言葉はいつも「JUST DO IT!!」
これはクラマ−さんが必ずプレーヤーに伝えた言葉だそうです。

ドイツには家づくりやまちづくりにも「JUST DO IT!」(ドイツ語は知りません)があったのです。

それではまた。


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