斎田 英次

第8回 環境首都 フライブルグにて


環境首都というのはドイツ国内で一番環境共生型の暮らしを実現している都市ののことです。
フライブルグは人口20万ぐらいの都市で、日本で言えば長野県の松本市と同じぐらい。私は、どこが環境首都として優れているのか、どんな暮らしぶりなのか、興味津々で訪れました。

■環境に配慮する具体的交通政策
まず驚いたのは自転車道のこと。まちの周りをぐるりと全長150KMあるそうです。高速道路に沿って綺麗な自転車道が伸び、猛スピードで自転車に乗った男性が行く・・・・いや女性も。
5キロや10キロへっちゃらなんだそうです。

まちのなかも自転車置き場がいたるところにあり、要は自転車での移動をしやすくする具体策があるわけです。自転車は確かに一番環境に負荷がかからない乗り物でしょう。しかし、自転車に乗れない人や苦手な人もいます。 そんな人たちのために公共交通機関に乗ることを優遇する政策があります。
「レギオカルテ」と呼ばれる公共の乗り物の優遇定期券です。
一枚で家族も利用できたり、サッカーのリーグ戦がある日にはある競技場への一定区間が無料になったり、自動車での移動よりも格段に安い料金で優遇しています。

ドイツはどの国よりも自動車産業が経済の中心にあり、また車好きの国民が多いと言えますが、どうしてこのような交通政策が産まれたのでしょうか?
話を聞くと、この交通政策にまず賛同したのは街のデパート、商店、レストランなどのオーナーだったそうです。
街に人が来やすくなる。歩きやすくなる。きれいな街ができる。店にも人が入る。・・・と言うわけです。誰も困る人はいないわけです。

カーライフは距離のあるところ、交通機関がないところでは絶対必要ですが、乗る方だってコスト比較をしますしね。安くて便利ならそちらに乗り換えてもいいと考える人は多いはず。
徹底的な・・・というメガネしかもっていなかった自分は、とても勉強になりました。利害関係の調整もエコロジー社会を具体的につくっていくときにはとても必要なことですね。

ちなみにこのレギオカルテの導入でバス会社などこの街の公共交通機関の乗客数は約2倍に増えたそうです。

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