斎田 英次

第9回 街並みに思う


昨今、誰しも海外旅行に行く世のなかで、ヨーロッパの一都市について私がどうこう言うのも僭越であり、大きなお世話でもあるのですが、一言。

公共の権利と私有の権利が決定的に違う点だけはお話したい。

ドイツに限らず、ヨーロッパの各都市では、看板をどこになら出していいのか、新しい建築をするにも外観、使う材料にいたるまで行政主導の厳しい規制があるそうですね。

建築家や工務店(ビルダー)の仕事はかなり制限されますね。しかし、その分、室内や屋外空間を大事に、豊かに暮らそうとするライフスタイルが育まれているのかも知れません。
フライブルグでも自分たちの文化である、古き良き美しい街並みを残すことで観光地としても人が集まる。快適と便利。自立と共生。フライブルグではどちらも手に入れたい二つのものがあれば、その接点を見つけるためにいくつかは我慢するといった風土があるような気がします。

おばあさんが孫に付き添われ、街の中心にある教会前の広場(そこで青空市場をやっていた)をゆっくり歩いている。そんな光景を見ました。

道路は石畳です。平らで舗装の行き届いた道をバリアフリーというのならば決して歩きやすいわけありません。でも車の通りがなく、色々なところに木陰や広場がある。広場には色鮮やかで様々な露店が並ぶ。

人を街にくりださせるエネルギーと仕掛けを古くて小さいとも魅力的な街、そしてエコロジカルな街を
「フライブルグ」に見たような気がしました。

日本でも「環境市民」というNPOが日本にも環境首都をつくろうと「環境自治体コンテスト」を企画・運営しています。魅力があり、エコロジカルでもある、そんな街が増えていってほしい。それはかなり市民・住民の力によるところが大きいと感じます。

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