ポプラ並木 
読売新聞北海道版コラム 2001年6月20日掲載 
北海道を巡るロマン

その二人は、北アルプスの蝶ヶ岳ヒュッテで出会った。二人は、共に十代の地元の女子大生と東京の高校生である。
 さて、先週軽井沢で、長年の仕事仲間に会った。彼はその高校生の父親であり、また、私にとって幾つになっても純情で誠実な旧友でもある。
 「小樽は良かったよねえ。俺の息子も小樽が大好きで北海道へ行っちゃったよ。小樽から積丹、いいよなあ」。そう語って、彼は満足そうにうなずいた。「うん、小樽は最高」。今度は私がうなずいた。
 塩谷のバス停から、小さな切り通しを抜け、忍路湾に至る。湾口からのそよ風に何かしら安ど感を感じながら小径を登る。地を這うハマナスの小枝を踏むと、思いっきり潮風に吹かれる。そして蘭島海岸が眼下に広がる。私はかつてこの路を幾たびも歩いた。作家伊藤整の詩集「雪明かりの路」がきっかけだ。妻とも、友人とも歩いた。その度に楽しく得意げに歩いた記憶がある。
 再び、彼の話に戻そう。
 蝶ヶ岳の女子大生は、北海道に魅せられて教員となった。美幌、旭川と勤務。彼の息子は、恋い焦がれて追いかけて、ようやく郵便局の空き員を士別に見つけたそうだ。どうやらこの恋物語はハッピーエンドらしい。
 私にとっても「北海道を巡るロマン」は、耳心地がとってもいい。

※このコラムに関する、ご意見・ご感想がございましたら、こちらまでお寄せください。
コラムのもくじへ戻る
 
ITOCHU Urban Community co.,ltd.