ポプラ並木 

読売新聞北海道版コラム 2001年12月5日掲載 

 ボーイスカウト。妻との暗号

93、32、57、63、37=アイシテル。
 出勤前の玄関先。ある青年とその妻とのやり取りだ。
 「これは妻と出会ったころからの暗号です。少年時代をボーイスカウトで過ごしたことが最高に楽しかった思い出です」と、少しテレながら話してくれた。
 そう!冒頭の数字は手旗信号で≪愛してる≫。
 彼は東京の下町育ち。当社の若手社員。
 柴又の帝釈天の境内が子供のころの遊び場だった。初めてのキャンプでアフリカの友達が叫びながら踊った≪狩人の歓びの舞(赤いリングリラ)≫に感動したそうだ。スカウト隊のネッカチーフを襟に巻いて遊びに出れば、信頼されているようで誇らしい気持ちになったという。
 私も思い出す。長沼町の馬追温泉でキャンプをした。森の中で、物見櫓と隠れ家を作る。木に登り、コクワ(木の実)や山葡萄も採った。櫓から辺りを見張り、隠れ家に潜む。夜の訪れは空想を無限に膨らませる。ワクワクするようなアドベンチャーワールドだ。
 彼の話は続く。「最初に挑戦した、とても複雑な《ロープ結び》をうまいと褒められたのがうれしくて、ボーイスカウトにハマッタんです。教わりながら、褒められた。そんな環境が良かったんですヨネエ」。そうか!想えば私の隊長もよく教えてくれた。褒めてもくれた。あの時も今朝のように、隠れ家に射し込んだ朝日がとてもまぶしかった。

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