Frontier 2008 Summer 
 
 

地球儀を使い温暖化防止の必要性を語る、大木浩(おおきひろし)先生。参議院、衆議院両議員を務め、1997年環境庁(現環境省)長官に。同年に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議」の議長を務め、京都議定書の取りまとめに尽力した。現在、全国地球温暖化防止活動推進センター代表。
 
便利さ、快適さの追求が温暖化の引き金に
地球温暖化の問題は、今世紀の最重要テーマの一つとして、テレビや新聞、雑誌などのメディアで取り上げられています。日本の現状はどうなっているのでしょうか。
「1997年、私が環境庁長官のときに京都議定書を作成し、日本は2008年、つまり今年から2012年にかけての温室効果ガス排出量を、1990年と比べて6%削減することを約束しました。しかし削減に向かうどころか、逆に増加しているのが日本の現状です」と大木先生。
地球温暖化で悪者扱いされる温室効果ガスには、実は地球の平均気温を15℃前後に保つという重要な役割があります。ところが、200年ほど前の産業革命を契機に、私たちは石炭や石油などをエネルギーとして消費する生活に。石炭や石油を燃やせば大量のCO2(二酸化炭素)が発生します。こうして大気中のCO2は、200年前に比べて約30%増加。CO2を中心とした温室効果ガスが急速に増えたことで温室効果が高まり、地球の気温が上昇したのです。
「便利さや快適さを追求したことで、私たちは豊かな生活を営むことができましたが、地球温暖化の問題で苦しむことにもなりました。便利さや快適さを大切にしながらも、どうやってCO2を削減するかを一人ひとりが考え行動することが必要です」
では、豊かで美しい自然環境を子供や孫など次世代に残し伝えていくために、いま何を始めればいいのでしょうか。
「このまま温暖化が進めば、5年後、10年後には様々な問題が起こってきます。もうすでに地球規模での気候変動が観測されていますし、日本でも台風の進路変化や集中豪雨など、以前は少なかった現象が起こり始めています。すべて温暖化が原因とは言い切れませんが、重要な要素の一つであることは確かです。ですから温暖化は、将来ではなく、いま起きている問題だという認識を持ってください」
 
CO2の削減のために各家庭でも数値目標を決めて
こうした状況を少しでも改善していくためには、国や企業などとともに私たち一人ひとりの行動が大切になります。
「地球温暖化への取り組みにはいろいろな方法がありますが、まずはCO2の削減に取り組むことが第一です。電力消費を減らしたり、車の使用を控えたりすることで、CO2の削減ができます」
下の『家庭でできる温暖化対策』を参考に、今日からさっそくご家族全員でCO2削減への取り組みを始めてみましょう。
「まず、数値目標を決めましょう。例えば電気消費量を何%削減するとか、1ヶ月のガソリンは何ℓまでに抑えるとか。目標を決めると、その通り進んでいるかを検証できます。この“検証する”ということが大切。もし目標が達成できていなければ、ご家族みんなで話し合ってください。実際に行動を起こすことで地球温暖化防止に対する意識も高まっていくはずです」
地球温暖化が非常に大きな問題だということは分っていても、「日本はまだ大丈夫」「自分の時代はきっと大丈夫」と考えていた人も多いのではないでしょうか。でも、もっと現実的に考えてみるべき問題なのです。
「地球温暖化は日本の問題であり、私たち一人ひとりの問題です。そしていま起きている問題なのです。将来に対する悲観的な予測もたくさん出ていますが、我々は今までにもいろいろな試練、例えば公害問題なども克服してきました。正しく認識して、しっかりと対応していくことが大切です」 そう大木先生は語ってくださいました。
 
家庭でできる温暖化対策


私たちの生活を見直し、CO2の排出を減らすためにはどうすればいいのでしょうか。ここで挙げた10の取り組みのうち、できるものから始めてみましょう。(2007年4月改訂数値)※環境省「身近な地球温暖化対策」より

1.冷房の温度を1℃高く、暖房の温度を1℃低く設定する
カーテンを利用して太陽光の入射を調整したり、クールビズやウォームビズを取り入れることで、冷暖房機に頼らないで過ごせる。冷暖房を始める時期も少し待ってみる。
●年間約33kgのCO2の削減
●年間で約1,800円の節約

2.週2日往復8kmの車の運転をやめる
通勤や買い物の際にバスや鉄道、自転車を利用しましょう。歩いたり自転車を使う方が健康にもいいですよ。
●年間約184kgのCO2の削減
●年間で約9,200円の節約

3.1日5分のアイドリングストップを行う
駐車や長時間停車する時は、車のエンジンを切りましょう。大気汚染物質の排出削減にも寄与します。
●年間約39kgのCO2の削減
●年間で約1,900円の節約

4.待機電力を50%削減する
主電源を切りましょう。長時間使わない時は、コンセントを抜きましょう。また、家電製品の買い替えの際には待機電力の少ないモノを選ぶようにしましょう。
●年間約60kgのCO2の削減
●年間で約3,400円の節約

5.シャワーを1日1分家族全員が減らす
身体を洗っているあいだ、お湯を流しっぱなしにしないようにしましょう。
●年間約69kgのCO2の削減
●年間で約7,100円の節約

6.風呂の残り湯を洗濯に使いまわす
洗濯や庭の水やりの他、トイレの水に使っている人もいます。残り湯利用のために市販されているポンプを使うと便利です。
●年間約7kgのCO2の削減
●年間で約4,200円の節約

7.ジャーの保温を止める
ポットやジャーの保温は利用時間が長いため、多くの電気を消費します。ごはんは電子レンジで温め直すほうが電力の消費は少なくなります。
●年間約34kgのCO2の削減
●年間で約1,900円の節約

8.家族が同じ部屋で団らんし、暖房と照明の利用を2割減らす
家族が別々の部屋で過ごすと、暖房も照明も余計に消費します。
●年間約238kgのCO2の削減
●年間で約10,400円の節約

9.買い物袋を持ち歩き、省包装の野菜を選ぶ
トレーやラップは家に帰れば、すぐゴミになってしまいます。
買い物袋を持ち歩けばレジ袋を減らせます。
●年間約58kgのCO2の削減
●資源節約

10.テレビ番組を選び、1日1時間テレビ利用を減らす
見たい番組だけを選んでみる習慣をつけましょう。
●年間約14kgのCO2の削減
●年間で約800円の節約

 
初めてのAED講習。まずは触ってみることから! 使える人が増えることが安心につながる
まじめに、楽しく環境問題を学ぶワークショップ

大木先生が代表をされている全国地球温暖化防止活動推進センターが運営する『ストップおんだん館(東京都港区)』では、地球温暖化防止の啓発のために様々な取り組みを行っています。
4月に設立した伊藤忠アーバンコミュニティの組織「環境エンジニアリング」のメンバー約30名が、今回同館で行われたエコ研修に参加しました。
研修のテーマは「地球温暖化」。このテーマに沿って、インタープリターと呼ばれる「ストップおんだん館」のスタッフと一緒に質疑応答やディスカッションを行ったり、ワークショップ(体験型の講座)を受けたりしながら、地球温暖化について考える時間を持ちました。
中でも興味深かったのは、気候が変わると「日本の文化」「食べ物」「水」「健康」などがどう変わるか、をテーマに行われたワークショップ。テーブルごとにチームを作り、それぞれのテーマでディスカッションして意見をまとめ、発表しました。全員、まじめにかつ楽しみながら、意見交換を行いました。また「洋服」「食べ物」「電気」「家」などができるまでにエネルギーがどれだけ使われているか、というテーマのイラストを使ったワークショップも。私たちの生活がいかにエネルギーに支えられているのかを再確認する内容となりました。
研修の最後にはインタープリターの方から、「今日皆さんで考えたことを、仕事で、家庭で、さらにいろいろな場面で生かしていってください」というエールをいただきました。
大木先生のお話の中に、「地球温暖化は将来ではなく、現在起こっている問題」という内容がありましたが、今回のエコ研修を通して、「環境エンジニアリング」のメンバーもそれを実感しました。さらに自分で考えたり、他の人の意見を聞いたりすることで、地球温暖化に対する新たな認識を手にした者も多かったようです。
また、「環境エンジニアリング」のメンバーは、東京商工会議所が主催するeco検定(正式名称『環境社会検定試験』)の受験等を通じ、環境に関する幅広い知識を身につけていきます。この貴重な体験を皆様にも味わっていただくために、まず『親子エコ体験教室』を開催いたします。
「環境エンジニアリング」活動はまだ始まったばかりですが、こうした研修や活動を通して環境問題に取り組んでいきます。

 
右/エコ研修で行われたワークショップ。発表テーマは、気候が変わると「お金」がどう変わるかについて。
 
●「ストップおんだん館」
地球温暖化についての展示・図書閲覧コーナーの他、予約制の参加型プログラムも開催。
東京都港区麻布台1-11-9
ダヴィンチ神谷町ビル1階
TEL.03-5114-1284
http://www.jccca.org/ondankan/
開館:10〜17時(火〜土)

参加者が持ち上げているバッグは、1日に1人の人が使うエネルギー量をその重さで表している(石油の重さに換算)。ちなみに緑のバッグが22kgでアメリカ、赤が3kgで中国。そして青は日本で11kg。実際に持ってみるとその重さに驚く。 インタープリターの質問に、赤・青・黄3色のカードで答える参加者。
 


今年4月、マンションのエコライフ活動をサポートする組織「環境エンジニアリング」を設立。その活動内容をご紹介します。


三阪 弊社はこれまで『地域と環境をサポート』というテーマのもと、ISO14001の取得を始め、事業部ごとに様々な取り組みを進めてきました。しかし、この100年間で世界の平均気温が0.74℃上昇し、このまま進むと100年後には6.4℃上昇することも予想されています。こうした状況を変えていくために、ビルやマンションのCO2削減を目的とした専門組織「環境エンジニアリング」を設立しました。ここを基点にソフト・ハード両面からの情報発信、提案を行っていきたいと考えています。

前田 まずはソフト面で、地球温暖化についての情報を盛り込んだ小冊子の制作を進めています。ご家庭からどのくらいのCO2が排出されているか、その削減方法は、などを具体的に紹介します。マンション居住者の方々が地球温暖化の問題を考え、行動するきっかけになればと思います。ハード面は、共用部分から。たとえば白熱灯を電球型蛍光灯に変更したり、給水システムを省エネタイプにしたり、また敷地内の街灯を太陽光発電型にする提案などを考えています。

吉野 管理組合総会で「うちは白熱球ですか、電球型蛍光灯ですか」という質問がよく出ます。敷地内にビオトープを作ろうとされているマンションも。皆さんのエコに対する意識の高さを感じます。

三阪 居住者の方々は、すでにきちんとした意識を持たれているので、それを具体的な行動に変えていくお手伝いを弊社がやっていきたいのです。

前田 照明器具の話が出ましたが、エレベーターホールのダウンライトを、従来の1/6の電力で賄えるLED(発光ダイオード)製品に替える提案も考えています。新しい機器は導入時にコストがかかりますが、長期的に見るとメリットがあるので、環境保護の視点も踏まえて提案していきます。

吉野 地球環境に配慮した商品やシステムが日々開発されています。その中から居住者の方に一番メリットのあるものを選択することも、私たちの役割と考えます。

(右から)環境エンジニアリングの三阪、吉野、前田。
三阪 これからは機器の入れ替えや修繕などを行うときに、コストや使用効率などとともに、環境への配慮という考え方も加えていただきたいと思うのです。環境に対する配慮は、マンションの延命、管理コストの低減にもつながります。

前田 マンションの専有部分につきましては、リフォーム時にCO2を削減するメニューを作成中です。今後、共用、専有それぞれに合ったCO2削減の方法や関連商品など、居住者の方々のニーズに合わせた提案をしていきたいと思っています。

三阪 こうした提案でCO2を削減し、地球温暖化の防止につなげていきたい。そんな活動をわれわれ「環境エンジニアリング」が中心となって進めていきます。


 

全国地球温暖化防止活動推進センター「ストップおんだん館」のご協力の下、第1回『親子エコ体験教室』を開催いたします。第1回目は、小学生のお子様を対象とさせていただきます。ぜひ親子でエコの体験学習をしてみませんか?参加ご希望の方は、こちらの読者プレゼント応募フォームよりお申し込みください。
なお、定員に達した場合は抽選となりますので、ご了承ください。
※プレゼント応募フォーム最下部が『親子エコ教室』のお申込欄になります。

開催日時 2008年8月21日(木)13:30〜15:00
会  場 全国地球温暖化防止活動推進センター
「ストップおんだん館」東京都港区麻布台1-11-9
対  象 伊藤忠アーバンコミュニティにて管理させていただいている
マンションにお住まいの小学生のお子様と親御様
 
無料
定  員 40名
参加要領 事前に郵送させていただきます「参加証」をお持ちいただき、直接会場へお越しください。


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ITOCHU Urban Community co.,ltd.